根管治療とは

歯科診療の中には「根管治療」と呼ばれる治療法があります。聞き馴染みのない治療法ですが、抜歯をせずに進行し当院では、歯の神経(歯髄)はできるだけ取らずに残すことが最も望ましいと考えています。
そのため、歯髄に達する深い虫歯があっても、神経がまだ生きている場合には、根管治療に進む前に “歯髄温存療法” を優先して検討する方針をとっています。
歯髄温存療法では、ラバーダムを装着したうえで虫歯を丁寧に除去し、神経が露出した部位に MTAセメント と呼ばれる薬剤を使用して保護します。
その後、暫間的に充填を行い、3〜6カ月経過を観察し、痛みや深い症状がなければ最終的な修復治療へ進むことを推奨しています。
一方で、歯の神経がすでに失活(死んでしまっている)している場合や、炎症が強く歯髄温存が難しい場合には、歯を残すために 根管治療が必要となります。
根管治療とは、抜歯を避けて歯を残すために行う重要な治療で、歯の状態に応じて以下の3つの方法から選択します。
当院で行う根管治療の種類
① 抜髄(ばつずい)
問題のある歯の神経を取り除き、根管内を清掃・消毒する治療です。
② 感染根管治療
歯の神経がすでに死んでいる場合や、過去の治療で感染が再発した場合に行う治療です。
③ 外科的歯内療法(歯根端切除術)
炎症が大きく、通常の根管治療では改善が難しい場合に、
外科的に感染部位を取り除く治療です。
どの治療法が適応となるかは、患者様のお口の状態によって異なります。
治療によって歯を残せる可能性がある場合は積極的に行いますが、将来的に保存が難しいと判断される場合には、無理に治療を行わない選択をすることもあります。治療方針は、患者様と相談しながら丁寧に決定していきます。
根管治療が必要なケース
歯の内部に細菌が入り込んだり、神経が強く刺激を受けて炎症が進んだ場合には、根管治療が必要になります。症状の出方は人によって異なり、強い痛みが出ることもあれば、ほとんど気づかないまま進行していることもあります。
次のような状態が続くときは、歯の内部で問題が起きている可能性があります。
- 冷たいものや温かいものがしみる
- 噛んだときに違和感がある
- 歯茎に小さな腫れや膨らみができている
- 過去に治療した歯が再び痛む
こうした症状を放置すると、周囲の骨にまで影響が及ぶことがあります。気になる変化がある場合は、早めに当院へご相談いただくことで、歯を残せる可能性が高まります。
根管治療を行うメリット
- 自分の歯を残すことができる
- 虫歯の痛みがなくなる
治療をして歯の根を残すことができれば、その上に被せ物をつけることができます。自分の歯が土台になることで、審美性と機能性の両方を回復させつつ、これまでのように食事を楽しむことができます。
そして、虫歯の原因を根本から取り除くことで痛みがなくなります。根管治療では神経やその周りをきれいにして炎症を取り除くため、QOLも向上します。
当院の根管治療の特徴

当院の根管治療は的確な診断を行い、できるだけ神経を残した治療を心がけています。
ラバーダムを使った治療を99%実施
当院ではほかの歯への感染を防ぐために、処置の際にはラバーダムを使用しています。ラバーダムはゴム製のシートで主に根管治療を行う際に利用しています。
当院ではラバーダムを使った治療を99%実施しています。まだまだ日本ではラバーダムを使った処置の浸透率は低いですが、当院では、感染防止の側面から積極的にラバーダムを使っています。
マイクロスコープを使った治療
当院では根管治療にマイクロスコープを導入しております。最大20倍まで拡大できるマイクロスコープを使用することで、顕微鏡よりも高倍率で、肉眼では見えないより細かい部分も正確な治療が可能です。
奥歯や歯周ポケットや細部まで確認できるため、根管治療においては深部の神経や虫歯の徹底的な治療が可能になります。
的確な診断
根管治療に関わらず、歯の治療には的確な診断が欠かせません。歯の根の本数や歯の形だけでなく、その歯の重症度は視診だけでは分からず、レントゲン検査やCT検査などの詳しい検査をする必要があります。そして、歯に問題があった場合に、その歯が「治療により改善する歯」かどうかの見極めも大切です。
例えば再根管治療を行う場合、すでに処置でダメージを受けているにも関わらずさらにダメージを与えてしまうため、より慎重に診断をします。そのために当院では次のような検査を行いながら診断を行っています。
- 問診
- 画像診断
- マイクロスコープ
- プロービング
など
できるだけ神経を残す
そして治療の適用を確認したら、できるだけ神経を残すように治療を行います。神経を取ってしまうと、その歯に栄養などが届かなくなってしまうため、とても脆くなってしまいます。
変色したり、歯が割れたり、欠けたりしやすくなって、結局抜歯が必要になってしまうことも考えられるでしょう。そのため、当院では、炎症範囲を見極めて、できるだけ神経を残すようにしています。
当院の根管治療の流れ

診断
まずは問診をしてお口の中の状態を確認して、どの歯(あるいは複数の歯)に影響が出ているかを特定します。その後、レントゲン検査をして、見た目では分からない部分の状態を確認します。それでも追加の検査が必要なときはCT検査を行います。
こうした術前の検査が、後の正確な治療のためにはとても大切です。
細菌感染した神経を取り除いて洗浄する
必要な情報が揃ったら治療に移ります。まずは、細菌感染した神経を取り除く治療を行い、歯の中の細菌を減らしていきます。このときに削る必要のない歯まで処置しないように最新の注意を払います。このとき使用するのが、ファイルや超音波です。
歯の根は、ファイルだけでは取り除けない溝がたくさんあるため、薬剤を使って消毒することで、細菌が残らないようにきれいにしていきます。
根管に殺菌薬を詰める
消毒をしたあとは、再び感染を起こさないように抗菌薬を塗布します。効果は1週間ほどすると現れますが、完全に菌をやっつけるにはこの治療を複数回行います。当院では2回程度を目安に行っています。
根管充填
殺菌が終われば、樹脂を歯の空間に詰めていきます。これを根管充填と言います。殺菌している部分をきっちりすき間なく充填しなければ再感染を引き起こすこともあるため、特に大切な工程です。
土台と被せ物の作成
根管充填が終われば、土台と被せ物を作成します。被せ物は患者様のご希望の素材で作成することもできます。審美性を高めたい場合や機能性を維持したい場合など、ご要望をおきかせください。
治療中の注意点とアフターケア
根管治療は、歯の内部を整えていく繊細な処置のため、治療期間中の過ごし方や治療後の管理がとても大切です。ここでは、治療中に気をつけたい点と、治療後に意識していただきたいことをまとめています。
治療中の注意点
根管治療を行っている歯は、一時的に負担に弱くなっています。痛みが落ち着いても、治療が完了するまでは慎重に過ごすことが重要です。
- 治療中の歯で強く噛まないよう意識する
- 硬い食べ物や粘りのある食べ物は控える
- 痛みや違和感が強くなった場合は無理をせず早めに当院へ連絡する
治療を途中でやめてしまうと、内部に細菌が残り、再び腫れや痛みが出る原因になります。最後まで通院していただくことで、歯を長く保ちやすくなります。
アフターケア
根管治療が終わった歯は、内部に細菌が入り込まないよう、状態に合わせて被せ物を装着して仕上げていきます。適切に仕上げることで、再発のリスクを抑え、長く安定した状態を維持しやすくなります。
治療後は次のような点を意識していただくと安心です。
- 噛み合わせの変化や違和感があれば早めに相談する
- 清掃しにくい部分が残らないよう、普段の歯磨きを丁寧に行う
- 定期的に当院で状態を確認し、内部や周囲の組織に問題がないかをチェックする
治療後の状態を長く保つためには、定期的な確認が欠かせません。気になることがあれば、いつでも当院へご相談ください。