歯周病とは?
歯ぐきから出血があったり口のねばつきが気になったりするとき、真っ先に思い浮かぶのが歯周病でしょう。歯周病は、近年の研究で歯を失うだけでなく、全身の病気にも影響を及ぼすことが分かってきました。
歯周病にならないためには毎日のケアと歯科クリニックでの定期的なメンテナンスが大切ですが、症状があれば早めに治療を受けることもとても重要です。高い場合は治療を行わないこともあります。治療をするかどうかについては、患者様と相談した上で決定いたします。
歯周病の原因
歯周病の原因は「プラーク(歯垢)」と呼ばれる膜です。食べカスのことと間違えられがちですが、実はそうではありません。プラークは食べカス(磨き残し)をエサにして細菌が作り出したかたまりです。
プラークは歯と同じ色をしていて歯と歯ぐきの境目や歯と歯の間などに徐々に蓄積されていきます。毎食後丁寧に歯磨きをしていれば、プラークはその都度取り除かれますが、歯磨きが不十分だと、プラークを形成していずれ炎症を起こすようになるのです。
プラークを除去するためには、実は歯ブラシだけでは不十分です。しかしデンタルフロスを使えば、歯ブラシのみのときに比べて歯垢除去率は1.5倍にアップします。マウスウォッシュなども使いながらプラークを残さないようにしましょう。
こんな方におすすめ
次のような症状があるときは歯周病の可能性があります。
- 寝起きに口の中がネバネバする
- 口臭が気になる
- 歯を磨いたり口をゆすいだりしたときに歯ぐきから出血がある
- 前に比べて歯が長くなったように感じる
- 歯がグラグラする
- 歯茎が赤く腫れたり、膿が出たりする
このように、気になる症状があれば早めに歯科クリニックを受診しましょう。
歯周病の進行度合い
軽度歯周病(歯肉炎、歯周炎)
歯垢(プラーク)が石灰化して形成される歯石は、通常のセルフケアでは除去できません。歯石を取り除くには、専用の器具であるスケーラーを使用する必要があります。このスケーラーを用いて、歯の表面や歯ぐきの下まで徹底的に歯垢や歯石をクリーニングすることを「スケーリング(歯石取り)」と言います。スケーリングは、お口の清掃だけでなく、歯周病の発生や進行、悪化を防ぐ効果もあります。
中度歯周病(歯周炎)
中度の歯周病が進行すると、歯茎の奥にある見えない歯の根(ルート)にも歯垢や歯石が付着します。このため、スケーリングに加えて「ルートプレーニング」が必要です。ルートプレーニングでは、歯垢や歯石だけでなく、歯周病菌に感染した歯質を除去します。施術後は歯や歯の根の表面が滑らかになり、再び歯垢や歯石が付着しにくくなります。
重度歯周病(歯周炎)
重度の歯周病が進行すると、スケーリングやルートプレーニングだけでは状態の改善が難しくなります。この場合、外科的な処置が必要です。例えば、歯周病により歯が溶けてしまった場合には、歯周組織再生治療を行って骨の回復を図ります。また、腫れが続く歯肉の除去など、症状に応じた適切な治療を行うことが重要です。
当院の歯周病治療の特徴
当院では完治を目指した歯周病治療を行っています。歯周病になると歯ぐきから出血して痛みがあることから、治療に対して「痛い」「怖い」と言うイメージをお持ちの患者様も多いです。
歯ぐきが弱くなっているところに、歯の表面にこびりついているプラークや歯石を器具を使って取り除くため、どうしても処置の刺激で出血したり痛みを伴ったりしてしまうのです。
当院ではなるべく患者様のご負担が少なくなるように、飲み薬を使った歯周病治療も行っています。内服で悪さをしている菌が少なくなることで症状を改善し、弱っている歯ぐきを改善して処置中の痛みの軽減を目指します。
当院の歯周病治療の流れ
当院の歯周病治療の流れは次の通りです。
カウンセリング
当院では、歯周病の治療をする前にまず問診を行います。そして、歯周病になったときはどのような治療が必要になるかを説明します。このときに、治療の重要性もお伝えしています。
多くの患者様は何か症状があって来院されることが多く、そうした場合、すでに歯周病はかなり進行している状態です。歯ぐきの腫れや歯のぐらつきなどの症状がある場合は、改善までの治療期間も長くなります。カウンセリングの際には、このようにすぐに改善する治療ではないこともあわせてご説明しています。
診察・検査
治療方針にご納得いただけましたら、お口の状態を詳しく調べる検査を行います。歯周組織の検査やレントゲン撮影をすることで全身の状態を把握するためには、問診や歯周組織の検査、レントゲン撮影などを行います。必要に応じて、クリーニングや除菌処置、歯周ポケット検査なども行います。これらの検査や処置をして、どのような治療が必要になるか決定します。
プラーク除去
歯周病の原因はプラーク(歯垢)です。そのため、歯の表面や歯と歯の間に蓄積しているプラークを除去して、新しくプラークがくっつかないようにするのが基本的な治療法です。プラークをきれいにするときは、歯磨き指導も行います。歯科クリニックで歯をきれいにしても、毎日の歯磨きが十分にできていなかったりやり方が間違ったりしていると、またすぐに歯周病になってしまいます。軽度の歯周病の場合は、この処置で歯周病が改善します。
歯石・歯垢除去
中〜重度の歯周病の場合は、プラークが石灰化して歯石になって歯周ポケットの深くまで入り込んでしまっています。ここまで進行すると、普段の歯磨きだけでは改善しないため、外科的な処置が必要です。
このような場合は、麻酔をして歯肉を切開して患部をむき出しにして、歯と歯肉の間に溜まっている歯石やプラークを取り除きます。
定期的なメンテナンス
歯周病の治療をしても、口の中の細菌を完全になくすのは難しいと言われています。そのため、毎日のケアを継続するとともに、定期的に歯科クリニックでメンテナンスを受けて再発させないようにすることが大切です。歯ぐきからの出血や歯のぐらつきがある前に、定期的にメンテナンスを受けましょう。