根管治療について
根管治療は、歯の内部にある神経や血管が入っている管(根管)の感染や炎症を治療する歯科処置です。虫歯が進行して歯の神経まで達した場合や、外傷によって神経が損傷した際に必要となります。
歯の中心部には歯髄と呼ばれる組織があり、ここには神経や血管が通っています。この歯髄が細菌感染を起こしたり、何らかの原因で壊死してしまったりすると、根管治療が必要になります。
根管治療が必要となる主な症状
激しい痛み
虫歯が進行して神経に達すると、激しい痛みを感じることがあります。特に夜間に痛みが強くなったり、冷たいものや熱いものを口に含んだときに鋭い痛みが走ったりします。この痛みは市販の鎮痛剤でも和らがないことが多く、日常生活に支障をきたします。
痛みの程度には個人差がありますが、ズキズキと脈打つような痛みや、咬み合わせたときの痛みなどが典型的です。
歯茎の腫れ
根の先端に膿がたまると、歯茎が腫れることがあります。腫れは歯の根元付近に現れることが多く、触ると痛みを感じます。腫れが大きくなると、頬全体が膨らんで見えることもあります。
歯茎の腫れは感染が進行している証拠であり、早期の治療が必要です。
歯の変色
神経が死んでしまった歯は、徐々に色が変わってきます。健康な歯と比べて黄色っぽくなったり、灰色がかったりすることがあります。この変色は、神経組織が壊死したことによって起こります。
変色した歯は見た目にも問題があり、笑顔に自信を持てなくなる方も多くいらっしゃいます。
噛んだときの違和感
歯の根の先端に炎症が起こると、噛んだときに違和感や痛みを感じることがあります。食事の際に特定の歯で噛むのを避けるようになったり、硬いものを食べるときに痛みを感じたりします。
この症状は日常の食事に影響を与えるため、生活の質を大きく低下させる可能性があります。
歯茎からの膿の排出
根の先端にたまった膿が歯茎から出てくることがあります。口の中に嫌な味がしたり、口臭が気になったりすることもあります。膿が出ている状態は、感染が進行している証拠です。
根管治療を放置した場合のリスク
感染の拡大
根管治療が必要な状態を放置すると、感染が周囲の組織に広がる可能性があります。歯の周りの骨が溶けてしまったり、隣の歯にも影響を与えたりすることがあります。
感染が拡大すると、治療がより複雑になり、治療期間も長くなってしまいます。
歯の喪失
感染が進行すると、歯を支える組織が破壊されて歯がぐらつき始めます。最終的には歯を抜かなければならない状況になる可能性があります。
歯を失うと、噛む機能が低下し、見た目にも問題が生じます。また、隣の歯に負担がかかることで、他の歯にも問題が起こりやすくなります。
全身への影響
口の中の感染が全身に影響を与える可能性もあります。細菌が血流に乗って全身に回ると、心臓病や糖尿病などの全身疾患を悪化させる要因となることがあります。
特に免疫力が低下している方や、持病をお持ちの方は注意が必要です。
治療費用の増加
早期に根管治療を行えば比較的シンプルな治療で済みますが、放置して状態が悪化すると、より複雑で高額な治療が必要になることがあります。
抜歯が必要になった場合は、インプラントやブリッジなどの補綴治療が必要となり、治療費用が大幅に増加します。
心筋梗塞/脳梗塞/肺炎のリスクが高くなるという論文があります。
根管治療の重要性
根管治療は、天然の歯を保存するための重要な治療法です。現代の歯科医療技術により、以前は抜歯が必要だった歯でも、根管治療によって保存できる可能性が高くなっています。
天然の歯は、人工的な補綴物では再現できない優れた機能を持っています。噛む力の伝達や、食べ物の感触を感じる能力など、天然歯ならではの特徴があります。
早期受診の重要性
根管治療が必要な症状を感じた場合は、できるだけ早期に歯科医院を受診することが大切です。症状が軽いうちに治療を開始すれば、治療期間も短く、成功率も高くなります。
痛みがないからといって放置せず、定期的な検診を受けることで、問題を早期に発見できます。
まとめ
根管治療が必要な症状には、激しい痛み、歯茎の腫れ、歯の変色、噛んだときの違和感、歯茎からの膿の排出などがあります。これらの症状を放置すると、感染の拡大、歯の喪失、全身への影響、治療費用の増加など、様々なリスクが生じます。
症状を感じた際は、早期に歯科医院を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。根管治療により、天然の歯を長期間保存することが可能になります。
当院では保険でもラバーダム治療を行なっており成功率を上げる為努めております。